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「遅くなった…すまない!」
ミノタウロスがいうと、巫女は言った。
「いえ、まだ集合時間の前ですよ」
「はははは…そう言われてみればそうだったな」
巨体のミノタウロスが椅子に腰かけると、悲鳴を上げるようにミシミシと音を立てた。
相変わらず凄い。
隣に居るからわかるが、ミノタウロスの椅子は特注品だ。
巫女は心配そうに言った。
「容体は如何ですか?」
「今日はすこぶるいいぞ。こういう日は0.5ミリほど伸びているものだがな」
ミノタウロスは豪快に笑った。成長期の子供の発言だったらな…。
そう思って聖女の隣を見ると、いつの間にか錬金術師も席についていた。
彼女が静かなのは、不機嫌だからだろう。
主催者である魔導師が姿を見せた。
「皆さまに、お集まりいただいたのは他でもない。
単刀直入に…」
魔導師がそう言いかけた時、聖女が手を上げた。
「その前に魔導師殿…北の守護者が来ていないようだが…?」
「ユッキーが来ないのはいつものことよ。まあ…昔はこんなに休まなかったけどね」
錬金術師がため息交じりに言うと、ミノタウロスは乱暴に机を叩いた。
「またさぼりかっ!」
「ミノタウロス殿、机が壊れてしまいますっ」
慌てた様子で巫女が叫ぶと、
北東のネクロマンサーも声のトーンを落として言った。
「困ったものだ」
ネクロマンサーが言うと、聖女も項垂れた。
「何のための会議なのやら…」
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