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聖女は立ち上がると言った。
「では、我々も帰るか…」
「そうですね」
もう会議も終わったし、発言しても大丈夫だろう。
『魔女の会議と聞いていたが…恰好は様々だな。
聖王や錬金術師殿が変わっているとばかり思っていた』
そう言いながら錬金術師に目をやると、ロボットアームのついたランドセルを背負い直している。
「まるで雑技団だよね~ 誰が魔女とか呼び出したんだっけ?」
「さあな。私が任命されたときには、すでに円卓の魔女と言われていたな」
聖女は難しい顔をした。
「まあ、それはそうと…ポールシフトは問題だな。
錬金術師殿の機械は大丈夫なのか?」
「巻き込まれると面倒だね…最悪作り直しかも」
錬金術師は僕をじっと見た。
「そういえば、リュシアンちゃん…何かぼそぼそと言ってたよね。
ポールシフトについて知っているの?」
どう答えるべきか考えた。
彼女たち魔女なら、僕が異世界から来たことくらいお見通しだろう。
『僕が元々いた世界の話だが…
磁場と太陽風が影響していたはずだ』
異世界の住人だと感じさせる発言をしても、錬金術師に驚いた様子はない。
彼女の変化と言えばへの字に口を曲げたくらいだ。
「太陽風ねぇ…もうちょっと覚えていることない?」
『そんなに賢くはないのだ。すまんな』
「そっか…」
錬金術師が通り過ぎると、ランドセルが僕の腰に当たった。
「あ、ごめんなさい」
ムッとはしたが、謝っているものに罵声を浴びせるのは大人げない。
そう思ったら聖女が表情を変えた。
「リュシアン…凄いことになっているぞ」
自分の腰をよく見ると、ぶつけられた部分の毛がなくなっていた。
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