リュシアンとババ様

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リュシアンとババ様

それから半月後。錬金術師は再び森へとやって来た。 「やっほー、巫女さん!」 「錬金術師殿、わざわざ来て頂いてありがとうございます」 「ミノタウロスちゃんの具合…どうなの?」 巫女は険しい顔をした。 「この半月の間に…更に1センチ…」 錬金術師は笑みを消した。 「計測ミスじゃないよね」 「…残念ながら」 「こっちもいろいろやってるけど…駄目ね。とりあえずコレも試してみて」 「はい、お預かりします」 僕は背に跨ろうとしている錬金術師を睨んだ。 『どさくさに紛れて何をしている』 「いや、落ち着かなくて…つい…ね」 『降りろ』 「はーい」 錬金術師が下りると、僕の格好はいつものユニコーンに戻った。 彼女はチラチラとこちらに視線を向け、やがて言った。 「ねえ…やっぱりマッパは寒くない?」 『動きやすくていい』 「……」 錬金術師は巫女と他愛もない世間話をしていたが、およそ10分ほどでこちらを見た。 「リュシアン…」 『何だ?』 「個人的には、あの重装ユニコーンの方がかっこいいな~って」 『……』
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