リュシアンとババ様

2/13
前へ
/276ページ
次へ
錬金術師を無視すると、彼女はふくれっ面になった。 「えい!」 何と錬金術師は、僕のしっぽを思い切り引っ張ったのだ。 そうかそうか。そんなに重装ユニコーンは魅力的か。 錬金術師を転ばせると、僕はどっかりと腰を下ろした。 「重いーーーー!」 『喜ぶがいい、お前の大好きな重装ユニコーンだ』 「ぎゃー潰れるー! というか巫女さま、笑ってないで助けて―!!」 僕が退くと、錬金術師は服についた土を払いながら言った。 「もう、お嫁に行けなくなったらリュシアンのせいだよ」 『お前にとっての婿とは被験者のことか?』 「お前と結婚するぞ、このメカ馬ヤロー!」 「はいはい、2人ともその辺で…」 巫女の指示に従い、僕は再び錬金術師を背に乗せた。 彼女はふくれっ面のまま腕を組んでいる。 『ところで錬金術師…』 「なあに?」 『僕の毛を集めているようだが、何に使うつもりだ?』 「フィラメントだよ、電球の…」 錬金術師は「まあ、わからないよね。フィラメ…」と説明しかけた。 『電球を光らせる線のことだろう?』 そう答えると、彼女は息を呑んだようだ。
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加