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平穏な日々は続き、その日も僕は巫女に体を洗われていた。
『こんなことは、使い魔にでもやらせればいいだろう』
「駄目よ。これは飼い主としての義務」
窓に目をやると、伝書鳩の姿があった。
巫女はいつものように手紙を受け取り中身を見る。
「リュシアン…」
『何だ?』
「炎の導師さまがお呼びよ」
『ああ、ババ様か』
巫女は反射的に伝書鳩を見ていた。
ああ、そういえば、僕が脱走を企てていたのも、ハト越しにわかったんだった。
僕は巫女を見た。
『で、ババ様の居場所がわからんのだが…』
「ゲートの使用許可なら頂いているわよ」
巫女はこの前と同じように本棚をどかすと、例の物々しい扉が姿を見せた。
呪文を唱え終わると扉は開き、例の宮殿へと繋がった。
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