リュシアンとババ様

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宮殿で少し待っていると、魔導師は姿を見せた。 『導師様、お久しぶりです』 「おお、命の巫女…元気そうで何よりじゃ。 きちんとリュシアンを連れてきてくれたのだな」 何だろう。まるで孫娘を迎える祖母のような雰囲気だ。 『で、ババ様…僕に用とは何だ?』 単刀直入に聞くつもりだったが、魔導師はじっと僕を見た。 「お主…」 まずかったかな…という思いと、僕はバイコーンだ。文句があるなら言ってみろ。という気持ちが複雑に混ざり合った。どこか魔導師の顔色を伺うような状況になったが、彼女は笑った。 「ヒョッヒョッヒョッヒョ…面白い奴じゃ。 お主とは遠乗りでもしながら、ゆっくり話でもしてみたい所じゃが… あいにく、そんな悠長なことは言っていられん」 巫女は真剣な表情で魔導師を見た。 「何があったのですか?」 魔導師の表情からも笑みが消えていく。 「ミノタウロスの地を狙う者たちがいる」 思わず巫女と目が合った。 ミノタウロスの収める南方面は穀倉地帯としても有名だ。聖女の土地も肥沃だが、この前の台風で大きな打撃を受けている。 「首謀者は…誰なのですか?」 「海賊連中じゃよ。烏合の衆に変わりないが…いかんせん数が多くてな。 ちと、ユニコーンの力を借りたい」
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