7人が本棚に入れています
本棚に追加
宮殿で少し待っていると、魔導師は姿を見せた。
『導師様、お久しぶりです』
「おお、命の巫女…元気そうで何よりじゃ。
きちんとリュシアンを連れてきてくれたのだな」
何だろう。まるで孫娘を迎える祖母のような雰囲気だ。
『で、ババ様…僕に用とは何だ?』
単刀直入に聞くつもりだったが、魔導師はじっと僕を見た。
「お主…」
まずかったかな…という思いと、僕はバイコーンだ。文句があるなら言ってみろ。という気持ちが複雑に混ざり合った。どこか魔導師の顔色を伺うような状況になったが、彼女は笑った。
「ヒョッヒョッヒョッヒョ…面白い奴じゃ。
お主とは遠乗りでもしながら、ゆっくり話でもしてみたい所じゃが…
あいにく、そんな悠長なことは言っていられん」
巫女は真剣な表情で魔導師を見た。
「何があったのですか?」
魔導師の表情からも笑みが消えていく。
「ミノタウロスの地を狙う者たちがいる」
思わず巫女と目が合った。
ミノタウロスの収める南方面は穀倉地帯としても有名だ。聖女の土地も肥沃だが、この前の台風で大きな打撃を受けている。
「首謀者は…誰なのですか?」
「海賊連中じゃよ。烏合の衆に変わりないが…いかんせん数が多くてな。
ちと、ユニコーンの力を借りたい」
最初のコメントを投稿しよう!