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恐らくこの数日のうちに、無数の情報戦が行われたのだろう。
僕らは密かに出陣し身を隠していた。
一方、海賊たちは前もって略奪した商船を用いて近づく。捕虜となっている船員に入港手続きまでさせる念の入れようだ。
僕と巫女と魔導師は、木箱の影から様子を眺めていた。
「大きな船ですね」
「全長39メートル、全幅7.4メートル、主力魔導砲3門、副砲4門…排水量320トン。収容兵数は推測500名…手強い相手じゃな」
『本当に奴らなのか?』
そう尋ねると、魔導師は表情を変えずに目だけを光らせた。
「もう少し近づいたとき…本性を現すじゃろう」
船本体が港に近づくと、港側のスタッフたちも準備に追われていた。
カモメが鳴き声をあげながら魚の群れに飛び掛かる。スタッフの1人が何気なく船を見ると、船員のひとりが布を持って船の甲板を歩いていた。
間もなく、臨検用の船が近づいて声が響いた。
「お前たちの所属は!?」
すると声が響いた。
「決まってるだろう! 俺たちは…」
「海賊だ!」という掛け声と共にドクロのマークの旗が翻った。
その直後に無数の弓矢が臨検用の船を襲った。叫び声と共に港は大混乱に陥る。
「出番じゃ!」
僕は魔導師を背に乗せると、船着き場まで駆けた。
魔導師はこの前と同じように右手の親指、人差し指、小指を立てて船に狙いを定める。
もちろん、海賊たちは僕らを嗤った。
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