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その頃、カネコという青年は書類を持ってミノタウロスに話しかけた。
「長、昨日注文した備品は予定通り搬入しました」
「……」
カネコは横目でミノタウロスを見た。
彼女は具合が悪くなってから、頷くだけで返答を終えることも多い。
カネコは不安そうにミノタウロスを見たが、新たな書類を出した。
「そして、いい知らせです。
ヴァルク軍が海賊討伐に成功したようです」
カネコは妙に思ったようだ。
ミノタウロスは自身が出撃できないことを悔しがっていた。無事に海賊が討伐されたことを喜ばないはずがない。
一礼すると、そっとミノタウロスの顔を覗き込んだ。
「失礼いたします」
「……」
「…長? 長っ!!」
カネコがミノタウロスに触れると、彼女の身体は冷たくなっていた。
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