前哨戦

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前哨戦

間もなく、僕と巫女はヴァルク帝国の宮殿に来た。魔女の円卓会議に参加するためだ。 会議室に着くと巫女は早速、南西を意味する席に腰を下ろした。 「そんなに余裕はなかったのだけど、一番乗りね」 『ああ、意外だったな』 およそ30秒ほどで、錬金術師が姿を見せた。 「あれ…? 意外とガランとしているね」 『聖王は政務の関係で出られないと伺っています』 「なるほど。王国も今…バタバタしてるもんね」 「何だ。これだけか」 僕らは驚いて窓に目を向けた。 堕天使はガランとした会議室を見回すと、翼を畳んで席に座った。 「あれ、番人さんは一緒じゃないの?」 「今、手が離せないと言っていた」 魔導師がやってくると、さっそく巫女が話しかけた。 「導師。ずいぶん少ないですが…」 「臨時会議じゃからな…これだけ集まっただけでも上出来というもの」 堕天使は冷たい目をしたまま言った。 「前置きはいい。重要な話とは何だ?」
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