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「おお、巫女殿…会議は如何だったか?」
聖女は巫女の姿を見るや否や話しかけたが、言葉の後半部のトーンがぎこちなくなった。
巫女が浮かない顔をしていることから、察しがついたのだろう。
「ミノタウロス殿が亡くなりました」
聖女の表情から笑みが消えた。
「そうか…惜しい人物だった」
巫女は淀みなく続けた。
「そして、ポールシフトが確認できないようです」
「なに…!?」
聖女の表情がみるみる険しくなっていく。彼女にとってもこの件は想定外の出来事らしい。
「博士と導師殿が調査を続けています。
原因も時期に判明すると思います」
聖女は頷いた。
「そうだろう。そうでなくては困る…」
じっと聖女の机にある報告書を見た。
そこには食料価格が記されており、短期間のうちに倍ほどの値までつり上がっていた。
眉間にしわを寄せていると聖女と目が合った。
「森の民も心細いだろう。早く戻ってやってくれ」
僕は黙って頷いた。巫女も一礼して部屋を出ようとした時だった。
「聖王様!」
僕も巫女も慌てて部屋の隅に寄った。
兵士は僕らに驚いて「失礼しました!」と叫ぶと、すぐに聖女の前に駆け寄る。
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