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「騒々しいぞ。一体どうしたのだ?」
「不死者の軍勢が…国境の砦に!」
聖女は落ち着いた様子だ。不死者が襲ってくるのは珍しくないのだろう。
「わかった。一個大隊を派遣する…それで…」
「いえ、以前とは比較にならない規模なのです!」
聖女は「すぐ行く」と答えると、兵は敬礼をして部屋を去った。
「すまないが巫女殿…」
「不死者と聞いて黙っているわけにはいきません。リュシアン…」
なるほど聖女を背に乗せて、体を光らせろと言いたいわけか。
聖女は申し訳なさそうに言った。
「まだ私が出撃すると決まったわけではない。とりあえず…敵の規模を確認してからだ」
それから1時間くらいだろうか。
砦から早馬が到着し、敵部隊の規模がおおよそわかった。
「申し上げます。不死者の軍勢…およそ1万。
その中にはネクロマンサーと思しき魔女の姿あり!」
さすがの聖女も、その言葉を聞いて耳を疑ったようだ。
「ちょっと待て! 奴は8柱の一員ではないか!」
「申し訳ありません。今日の臨時会議で奴は欠席したのです。
まさか…自ら出陣するとは…」
聖女は下唇を噛んだ。
8柱同士が争うということは、手を出した方はその座を追われるし、応戦した方も厳しい尋問を覚悟しないとならないようだ。
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