見えてしまった

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 時は現代、科学万能の時代に話は移る。とある大学生が郷土史で「糸屑侍」の講義を受けていた。普段ならノートに書き写し右から左に流す程度の扱いだが「糸屑侍」と言う凶人について興味が湧き、これを論文にしようと思い真面目に調べだした。  大学のパソコン実習室で糸屑侍とインターネットで検索をかけても講義でやった以上の情報は入らない。所詮はとある地方の郷土史と言うことでローカルな昔話を調べようなどと言う物好きは無限に広がるインターネットの海の中にもいなかった。結局、検索をかける事はやめて戦国時代をモチーフにしたMMORPGに興じていた。何時間かポリゴンで作られた野伏りを斬り倒していると隣にMMO仲間が座っている事に気がついた。 「よお、今日も今日とて大学に来てゲームか?」 「うるせえな。今日はもう講義もバイトも無いし別に良いだろ。態々家帰るのも面倒くさい」 「本当にゲーマーだなお前」 「お前に言われたくねぇ」 一緒にMMOのクエストをこなしているとMMO仲間が急に立ち上がり目頭を軽く押さえた後に目薬を差し始めた。 「何だ? 疲れ目か?」 「ああ、最近飛蚊症が出てきてな。あんまり目の酷使はしない方が良いって眼科に言われてるんだ」 「え、ヒブンショウって何?」 「常識の無い奴だな」 MMO仲間は飛蚊症の説明を始めた。
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