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悲観するような言葉が耳に残る。
そう、どんなに楽しもうとしても結果的に殺される運命にある。
使えない物は壊されてしまうんだ。
小さい頃から教わってきたことだった。
必死に取り繕っても無駄なのだ。
死に怯えて暮らすしか私たちに権限はなくて、思い出も結束もなにもかもまやかしだった。
私は夜の空気を吸ってくるといって、倉庫を出て死神の森の方へ歩いていった。
死神の森は試験が終われば不気味な森であった。それでも静かな空間は私を癒してくれた。
この世界の月はいつも三日月だ。
紅い三日月、蒼い三日月。黄色い三日月。唐突に浮かぶ緑色の奇妙な満月。
満天のときは陰が薄い月だけれど曇りや雨の日は存在感が増していく。
私はぼんやり月を見上げた。
楽しいとか嬉しいとかどこかに置き去りにされている人生だった。
だから、破裂音に背筋がぞくりと反応した。
振り替えると黒い煙が倉庫の方から上がっているのが見えた。
私は急ぎ足で倉庫に戻る。
待ち構えていたのは燃え盛る炎と熱風と──。
「先生」
ルアン先生が私の声にゆっくりと振り替える。
「なにが、あったの?」
倉庫が粉砕していることは見れば分かるけれども理解が追い付かない。
「リア。君はまだあいつらと居たのか?」
「そんなこと今はどうだっていいじゃない。何がどうなったのよ。先生がやったの?」
混乱するまま詰め寄った。
「魔法使い駆除の連中だよ」
先生の声音が落ちた。
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