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いつだって人の心に触れることが怖くて仕方なかった。
夜が来ると毛布にくるまってひとりで怯えていた。
朝が来ればそ知らぬ振りをして日常に出向いた。
モノクロの世界が私の居場所だった。
騒がしい教室、不登校の生徒が羨ましかった。
なぜ自分はダメで他人が許されるのか解らなかった。
私には休むということ、人間世界から離れること事態が禁忌なのだろうか。
悩むことが増えていた。
ぐるぐると目まぐるしく世界が回っていた。
今日も同じ色を見ている。
色気のない教室の片隅に座っている。
授業開始のベルが鳴る。
入ってきた教師は淡々と世界を紡いでいく。
魔法基礎から魔法の歴史、魔法の道具の使い方に歴代の魔法使いの話を続けている。
眠気が押し寄せるような空間で教師は私に質問する。
「リア。この世で一番尊い魔法を説明しなさい」
名指しされた私は立ち上がる。
「生命を生成する魔法です。死人には使うことができませんが物質に適用されます」
「宜しい。それによって何を得る?」
「遣い魔、ペット、兵士の増量、家族」
どうだっていい。
こんな魔法が尊いとは到底思えない。
物質が家族になるだなんてあり得ない。
私はテンプレのような答えを繰り返す。
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