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アルバムを持ち帰ってから数日後のこと。いつものように古書店に向かうと、思わず息を呑んだ。
写真に写った女性によく似た若い女が本を眺めていたのだ。
きっと成長した葵に違いないと思い、不審者に思われるのを覚悟で声をかけた。
「あなたは葵さんですか。あなたが映ったアルバムを預かっているのですが」
「葵・・・私の名前はひなたですけど?」
女はきょとんとした表情で見てきた。そんな表情もアルバムの女性に似ていて、確信した。
「あなたが知らないアルバムなのかもしれない。渡したいから、そこの喫茶店で待っていて下さい。家から取ってきますから、お願いします」
何でこんなに必死になるのか自分でも分からなかったが、なんとなくこの女性に渡す事は譲れなかった。何とか承諾を貰い、部屋へと走り帰った。今までで一番ドキドキしていた。
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