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「血を……、血を止めないと……」
狼狽も露わに消え入りそうな声で呟く美貌のヒューマノイドを見て、シリルは荒い息の下から声を立てずに笑った。
「なんでおまえのほうが、いまにもひっくり返りそうなんだよ。自分が大火傷したときは平然としてたくせに」
「それとこれとは話が別です!」
強い口調で応えたリュークは、すぐさまいつもの棚から医療箱を取り出そうとして愕然とした。医療箱は、先程の場所のテントの中に置いてきてしまっていた。リュークの様子でそのことを思い出したシリルもまた、ああ、としかたなさそうに息をついてから、ふと後部座席の奥を指さした。
「たしか、止血剤の予備が1本あったはずだ」
言われて、身を乗り出して座席の後ろを探ったリュークは、すぐに目的のものを見つけてシリルに向きなおった。自分の衣服も数着、一緒に手にして座席に座りなおす。その中の1枚を、力任せに破いた。それを適度な大きさにたたんだところに止血剤をふりかけ、腹部の傷口にも直接ふりかけてから布を当てた。
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