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止血剤を腹部にかけられた瞬間、シリルはビクッと全身をふるわせたが歯をくいしばって声を殺した。その横で、リュークがふたたびみずからの衣服を裂いて細長い布状にしていく。ある程度の枚数がそろったところでシートを起こし、シリルの腹部にきつく巻いていった。
その場しのぎの応急処置。
手際がいいなと笑ったシリルは、ふたたびシートを倒すとぐったりと横になった。
荒い呼吸が機内に響く。
「すみません、シリル。私のせいで……」
独り言のように呟いたその声を、けれどもシリルはしっかりと聞き取っていた。
「なんでおまえが謝る。俺はプロだぞ。その俺がドジを踏んだってだけの話だ」
目の上に載せていた腕を、シリルは助手席のほうへ伸ばした。その手を、リュークが両手で握りしめた。
「悪いな、心細い思いをさせて。この程度の傷、少し休めばすぐに落ち着く。機内で窮屈だろうが、おまえも休んでおけ」
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