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「可愛い貌して、とんでもねえムチャやらかしまさあ」
思い出しただけでゾッとする。マティアスの腕には、本当に鳥肌が立っていた。
「悪い。迷惑かけたな」
リュークがムチャをした原因が自分にあるため、シリルは思いのほか無鉄砲なヒューマノイドにかわって謝罪の言葉を口にした。
「いや、とんでもねえ。止めらんなかったオレの責任でさあ」
「機体は無事か?」
なにごともなくてよかったと胸を撫で下ろす巨漢に、シリルは尋ねた。マティアスはそれに対して「おかげさまで」と応じた。
「見かけによらず、たいした度胸ですよ。ま、それだけ必死だったってことなんでしょうけどね」
言って、人相の悪い巨漢はシリルの背後にあるテントを見やった。その奥では、意識を失ったリュークがいまも眠っている。自分のかわりに倒れたリュークをマットに寝かせたシリルは、テントの外に出て、くわしい経緯をマティアスに聞いているところだった。
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