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「ミスリルのときも、……あんなでしたっけ?」
どうにも自分の見たものが信じられなさそうに疑問を口にする巨漢に、シリルは「いや」と応じる。そしてニヤリと笑った。
「ひと月足らずのあいだに、随分可愛くなっただろう?」
「いや、まあ……」
なんと答えたものか、返答に困った様子で言葉を濁したマティアスは、やがて、おそるおそるといった具合に尋ねた。
「その……、おふたりはひょっとして、そういう関係なんで……?」
「そう見えるか?」
「いや、まあ……、見えるっつーか、見たまんまっつーか……」
自分で口にしておいて、自分で赤くなっている。
「言っておくが、あいつは男だぞ?」
「いや、そりゃもちろん知ってますが、あそこまで桁外れの美形だと、そんなのはどうでもい――」
言いかけたところで、マティアスは己の失言に気づいてあわてて弁解した。
「なっ、なんもしちゃいねえですからっ! この3日、疚しいことはなんもっ! 天地神明に誓って、いっさい手なんざ出しちゃいませんっ!!」
出されても困るが、だからといって自分が手を出していると思われるのも不本意である。
「子供相手に勃つかよ……」
思わずぼやくと、マティアスは「へ?」と面食らったような顔をした。
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