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「子供?」
「ああ、いや。なんでもない。こっちの話だ」
不思議そうに訊き返す相手に、シリルは曖昧に誤魔化した。そこへ、イーグルワンから非常食をとってきたリュークが駆け戻ってくる。両手に持てるだけ荷物を抱えた姿を見て、今度はマティアスが飛んでいった。
「……おまえ、いくらなんでも持って来すぎだろ」
呆れるシリルに、美貌のヒューマノイドは「でも……」と俯いた。
「いや、嬢ちゃん! オレも腹が減ってるから!」
強面の巨漢が、そんなリュークを見てあわててとりなした。感情が素直におもてに出るようになったその様子はじつに頼りなげで、荒くれ男の庇護欲すら刺激せずにはおかない風情を漂わせていた。
「いやあ、さすが気が利くなあ。さっきから腹ぺこで死にそうだったんだ。見てのとおり、この躰を維持するにゃ大量に食わねえと持たなくてよ。オレが買ってきたもんも、ついでにみんなで食っちまうか、なっ? 嬢ちゃんもしっかり食わねえとダメだぞ? こんなか細いんだからよ」
そらぞらしいほど明るくマティアスは話しかける。そんな大男に、リュークは無言で頷いた。
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