エピローグ

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「シリル陛下、今日まで本当に、ありがとうございました」  顔を上げたシリルに、ベルンシュタインは告げた。 「これまでこの国と民のため、御身を犠牲にしてこられたぶん、今日からはふたたび、ご自身のための人生をお歩みください。陛下の取られる休暇は、王室府の裁量により、ただいまをもちまして無期限とさせていただきます。陛下お留守の王城は、どうかこのわたくしにお任せを」 「ベルンシュタイン……」 「無期限とはいえ、陛下の御身はこの国にとって必要不可欠のかけがえなきもの。やむを得ない場合は、決済やご裁量を仰ぐこともございましょう。そのための各部署との直通回線を、勝手ながら陛下の所有機に引かせていただきました。事後承諾となりましたこと、お詫び申し上げます」 「かまわない。必要があれば、いつでも戻ってくる」 「ありがとう存じます」  ベルンシュタインは口許の微笑を深くした。
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