彼女と私

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彼女と私

 女の子なんだから、と言われるのが、昔から嫌いだった。  「私、それ嫌い」  そう言って場の空気を凍らせたのは、私の真正面に座っていた佐々木さんだった。  今日は高校の同窓会だ。  席順はくじ引きだったけれど、私は周りに親しい友達が多く集まるところに座っていて、久々に会う同級生たちと会話を楽しんでいた。  唯一、向かいの席に座る佐々木さんとだけはあまり話したことがなく、まだ最初の挨拶くらいしかまともに言葉を交わしていない。高校時代から、休み時間は本を読んで過ごしている大人しい印象の人で、今も時々振られる質問に答える以外は聞き役に徹している。  そんな佐々木さんが、突然口に出したのがあまりにも強い言葉だったから、話をしていた私たちは一瞬、黙り込んでしまった。  「……えーっと、ごめん。それってどれ?」  直前まで話をしていた友達が、佐々木さんに硬い声で尋ねた。  「今間宮さんに言った、『女の子なんだから』、って言葉」  間宮、というのは私のことだ。  直前に、友達が私に言ったのだ。  『それにしてもアキは相変わらずだねえ。女の子なんだから、たまにはスカートでも履いたらいいのに』 『……私、それ嫌い』  嫌な言葉を言われて一瞬、返事ができない私が黙っている間に、佐々木さんが口を開いた。  そしてそのまま、場の空気も凍ってしまった。  「……ごめんなさい、余計なこと言ったね。私帰るよ」  佐々木さんはそう言って立ち上がると、さっさと出口の方へ歩いて行ってしまう。  「ご、ごめん。私も帰る!」  私は自分の荷物を掴んで、慌てて佐々木さんの後を追った。
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