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「佐々木さん!」
店を出たところで呼びかけると、佐々木さんはびっくりした顔で振り返った。
「間宮さん? どうしたの?」
何も考えずに飛び出してきてしまった私は、声を掛けたものの言葉をうまく続けられなかった。
「あ、えーと……、あのさ、良かったらもう少し話さない?」
「私と?」
「うん、ええと、もし嫌じゃなかったら、だけど」
佐々木さんは少し間を置いてから、良いよ、と答えてくれた。
もう少しで冬になる、という時期でだいぶ寒かったから、近くにあった小さなカフェに移動して、それぞれ飲み物を注文した。私はコーヒーを、佐々木さんは紅茶を。
注文をして店員が席を離れてから、佐々木さんが言った。
「さっきは、本当にごめんね。嫌な気分にさせたでしょ」
彼女は真剣な顔で謝ってくれた。
「ううん、別に大丈夫。気にしてない……ってことはないけど、ちょっと嬉しかったんだ。私も、女の子なんだからって言われるの、嫌いだから」
私がそう言うと、佐々木さんはちょっとだけ安心した顔をしてくれた。
「でも、周りの子には悪いことしちゃったよね。場の空気も考えずに、あんなこと言っちゃって」
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