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少年は抱きしめようとしたが、人間と幽霊は互いに触れることが出来ない。
声をかけることしか出来ない自分の無力さに腹が立った。
B「ごめんな。」
少年は少女の隣に座った。
少女が落ち着いた頃、少年は話し出した。
B「俺が一番怖いのは、このまま最後まで気持ちを伝えられないことだ。来年は会えないんじゃないかって、毎年思う。だから、後悔する前に伝えたいんだ。」
少女は黙って話を聞いていた。
A「消えちゃっても、私のこと、覚えていてくれる・・・?」
B「当たり前だろ。」
少年は笑った。そして、もう一度少女の目を見た。
B「俺はお前のことが好きだ。」
言った瞬間、体が淡い光を放ち始める。
少年の目から一粒のしずくがこぼれ落ちた。
A「やっぱり消えちゃうね。でも、嬉しかったよ。好きって言ってくれて。」
少女の目からもしずくがこぼれ落ちる。
だが、少女は懸命に笑顔を作った。
A「私も大好きだよ。ずっと前から、大好き。」
淡い光が体を包んでいく。
既に体の半分以上が消えていた。
A「また、会えるよね?」
B「ああ。きっとまた会える。来年の雪の日に──。」
二人は笑いあった。消える直前、少女の口が動いた。
A「好きになってくれて、ありがとう。」
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