2人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
いつか雪の日に
雪が静かに降っている。今年初めての雪だ。
少女は傘もささずに、ひとり写真を撮っていた。
B「よぉ。一年ぶりだな。元気だったか?」
驚いて振り返ると、そこには一人の少年が立っていた。
A「・・・どうしてここに?もう来ないでって言ったのに。」
少女の表情が暗くなる。
B「年に一回しか会えねーんだから、別にいいだろ?」
少年は、ハハッと笑ってそう言った。
少女は何も言わずに、カメラに視線を移す。
カシャり。シャッターを切る音だけが、静かな空間に響く。
それ以外、何も聞こえない。
しばらくの沈黙のあと、少年が口を開いた。
B「お前にどうしても伝えたいことがある。」
A「・・・え?」
少女はカメラを下ろした。
少年は大きく深呼吸をする。
そして、まっすぐに少女の目を見る。
B「俺は、ずっと前からお前のことが」
A「やめて!」
少女は少年の言葉を遮って、耳を塞いだ。
A「いや!聞きたくない!それを言ったら、未練がなくなって消えちゃう!私はもう一人になりたくない!」
少女は叫び続ける。
A「その言葉を聞きたくないから、もう来ないでって言ったのに・・・」
そして、少女はその場に泣き崩れた。
最初のコメントを投稿しよう!