第1話 蘇生

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顔も布に覆われ小さなカプセルのようになる 『完全防護形体に移行完了。それではよい夢を』 一気に眠くなる 空は暗く、煙が幾つも上がっている 外では低級市民が略奪を繰り返し、軍隊が鎮圧に入る 「外でも戦争、中でも戦争、滅ぶべきでは?人類は」 私の声が聞こえる 『駄目だよその考えは。大丈夫、再生された地球ならこんなことは起きなくなる』 優しい男の人の声 軍隊が低級市民を全て処理し周りを閉鎖している 「軍は何か嫌なことを考えてる。勝ってもこのままだと滅ぶのに。」 事実、地球はもう駄目である 海は赤く腐臭が漂い、魚は10年発見されていない 地上の生物は家畜や小動物以外は絶滅したと言われている 空は厚い雲が覆い太陽を見るためには宇宙に行くしかない 植物は枯れ、研究所や屋内農場以外は何もない 『だから僕たちが呼ばれたのさ。ノアプロジェクトで人類を冷凍保存、もしくは宇宙で生活。同時に地球環境を再生させるナノマシンの開発』 「人類が70%減って始まったプロジェクトだけどね」 大国が共倒れになり小さな国々が残った技術と研究者を集めやっと始めた手遅れにも程があるプロジェクト そんな中でも互いが有利になるための覇権争いを始めた 「くだらない人類…」 『ならさ、新しい地球はそんな事無い世界にしよう。』 優しい男の人の声は少し悲しそうだった 目が覚める あの人の名前が思い出せない… 『おはようございます。完成したので意識を覚醒させました』 寝袋をローブに戻す 外気が肌に触れる 草の匂いが混じった澄んだ空気 これが地球の本当の匂いなのかしら… 「だったらいいな…」 呟く 『完成品のチェックをお願いします』 舟からバイクがゆっくりと吊り下げられてくる 中には偵察用の円盤型の大型ドローンと軽量化された銃、すべて注文通りである 『なお、バイクは悪路対策用に二輪歩行形態を追加してあります。操作マニュアルを添付いたします。』 マニュアルに目を通す 「ハンドルを押し込み……」 ハンドルを押し込むとガチャとロック音がする すると運転席が90度回転し後輪が足のような形になり2足歩行出来るようになる。 前輪は運転席側面に稼働し重心を安定させる 不恰好だけどこれなら森の中をを歩ける 操作は脳とリンクし、自分が歩くのと同じ感覚で歩ける 周りを慣らし歩きし、バイクモードに戻した
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