ライトにまかせて

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藤中はライトの守備位置から振り返ってスコアーボードを見る。 「やはりライトはスコアーボードに光が反射して光が強い。1番太陽に近いような守備位置だな」額の汗を手で拭きながら1人でぶつぶつ考えていた。 ここから見えるマウンドのスペースは小さく見える。しかしこの小さなスペースの中でピッチャーとバッターの激しい駆け引き 一進一退のせめぎ合いが行われている。 橘北高校エースでサウスポーの前川 雄二が投げたボールに相手バッターがスイングしたのが見えた。 詰まった時に出る低い金属音が聞こえた。 ワーと歓声がした。 そして晴天の空を見上げた。 上空に白いボールが飛んできた。 「またかよ。またこっちに飛んできたぞ。それもまたかなり詰まっている」 真っ直ぐボールが落ちるだろう目の前の地点まで必死に走る。定位置よりかなり右側に逸れた場所だ。 ここだという場所に大きく手を伸ばした。グローブを開くとなんとかボールが吸い込まれるようにグラブに入った。 グランドに転がり込んだ。 審判が親指を力強く立てて、アウトのジェスチャー。
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