ライトにまかせて

1/28
前へ
/28ページ
次へ

ライトにまかせて

「暑い、意識が遠のく、今日は特に暑い。汗がトランクスまでに染みてきている。たまには涼しい夏の日に野球がしたいもんだ」 ライトを守る藤中 清は夏の野球の試合はいつも同じことを考えている。 太陽が真上にあり、強い熱光を球場全体に注ぎ込んでいる。 地面からの照り返しによって、守っている選手からすると40度を超えているだろう。 ヒーターを目の前にして温度設定を強にして晒されているようだ。 応援席では厳しい環境をものともせずに強い声援を送り続けている。 球場周辺の注意を向けると早くも蝉の鳴き声の大合唱が始まっている。 高校野球地方大会、藤中の橘北高校は3回戦までは毎試合、延長まで縺れこんだがなんとか勝ち上がることが出来た。 準々決勝の野球屈指の名門で甲子園常連校の開城高校の試合。大方の予想は橘北高校は開城の打者にあっさり打ち込まれて大敗が予想されていた。しかし試合は5回裏まで進み開城高校の攻撃中、両チームのスコアボードには0が並んでいる。今のところは接戦だ。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加