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目覚め
ここは、フランデル王国という街から少し離れた、自然豊かな木々に囲まれたエドワール城。
部屋からは朝日の光が差し込み、小鳥のさえずりがまるでメロディーのように聞こえてきます。
時刻は午前8時。
まだぐっすりと眠っている少女がいました。
彼女の名はヘレナ。
金色のウェーブがかった髪をしており、年はまだ10代と若く、彼女はこのお城に住んでいる、いわゆるお嬢様です。
しかしそんな彼女も朝は苦手なようで、なかなか目覚めようとしません。
コンコン、と扉を叩く音が、広い部屋全体に響き渡ります。
「ヘレナ様、朝ですよ?起きてください。」
彼がそう言っても、部屋は広いためか、その声は届かなかったのでしょうか?
彼女はまだ夢の中。
ぐっすりと眠っているようです。
彼はしかたなく扉を開けて彼女の元に寄り添い、起こそうとします。
その、彼とはーー。
このお城で働く執事のアレンでした。
彼はまだ20代ですが、小さい頃からとても礼儀が正しく、今では立派な執事としてこのお城に務めています。
そんなアレンの1日の始まりは、彼女ヘレナを起こすことからでした。
「ヘレナ様、8時ですよ?起きてください。」
「‥‥うーん‥…。」
どうやら夢から覚めたようですが、まだ起きようとしません。
しかし、彼にかかれば彼女を起こすことなど朝飯前です。
「起きてください。今朝はヘレナ様の大好きなお店で買った、クロワッサンを焼いて待っていますよ?」
「んん‥。クロ‥ワッサン。‥‥クロワッサン!?」
彼女はクロワッサンが大好きで、その言葉を聞いた瞬間飛び起きました。
彼は起きることを想定していたような、良かったなという気持ちで微笑んでいました。
「ヘレナ様、おはようございます。」
「おはよう‥。アレン。」
彼女はすぐにパジャマから私服に着替えました。
ラベンダーカラーのフリルたっぷりのワンピースでとてもかわいらしい服装です。
それから身なりを整えダイニングルームに行き、朝食。今日は大好きなクロワッサンを食べます。
そして彼女の1日が始まるのでした。
いったい今日はどのような日になるのでしょうか‥‥?
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