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広大な農園の中央に、四角いケーキをいくつかに切りわけたように白い建物がならんでいた。
九つのキューブ状の建物は高さ五十メートル、横幅十二、三メートル、奥行きもそんなものだろう。
よくある地下シェルター式で、地上部分は外部への出入りに使われるていどだ。
中心のキューブに案内され、なかへ入ると、とたんに忍の見なれた都市の姿になった。
エントランスホールのまんなかに噴水が高く水をふきあげ、白い床に青白い陰影を落としている。人感センサーの照明。空調システム。いたるところにある監視カメラ。
壁ぎわにならんで人間の命令を待っている球形のお手伝いロボット。
風間曹長が一つに手をあてると、銀色のボールは、らせん状に電光を走らせ目をさました。
「ご命令ですか? ご主人さま」
ボールから優しい女声が発せられる。
電子音で充分だが、収容者は完全に男女別の収容所に収監されている。つまり、一つの施設には同性しか存在しない。
このB3収容所は男だけだ。教官や管理官、研究者なども一人残らず男だ。お手伝いロボットくらいは女の声で話してほしいのだろう。
と言っても、そのロボットは球形だ。
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