一章 戒め-1

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ヒューマノイドのロボットーーつまり、セクサロイドというやつは、病気や仕事の都合で生涯、妻帯できない成人男子のうち、ある一定以上の社会貢献度を持つ者のみが許諾される。 今回の人事異動で、忍にはにわかにその権利があたえられた。ぜひとも資格申請して一体持っていくようにと、父は言った。 忍は断乎、反対した。 (誰でもいいわけじゃない。ましてや機械なんて。好きな女の一人くらい、私にもいたさ。それが愛してはいけない人だったというだけだ) 不倫は犯罪のなかでも、とくに罪が重い。 結婚は両家の親が決めることであり、本人たちが勝手に進めてよいものではない。家柄、身分、二人の遺伝子配列まで、すべてが釣りあっていなければならない。 何よりもまず国家のために、次世代をになう優良な子どもを残さなければならないのだ。 「忍。やはり、照日さまのことか? だから、一生を棒にふってまで、人のきらう収容所勤務など志願したのか?」 口論に疲れて、そう言った父は、急にいくつも老けたように見えた。 「そなたには母の情愛を知らせずに来てしまった。せめて、幸福な結婚をしてくれることを願っていたのだが……」 あのときの父の声が忘れられない。 忍の物思いはボールのハウスキーパーに命じる風間曹長の声でさまされた。 「おまえを今後、こちらの九龍大尉どのの専用機とする。大尉どののご命令に従い、忠実にお仕えするように」     
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