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「承りました。クリュウ大尉どのの生体データを入力いたします」
ボールの中央がピカリと光り、忍の全身を青い光でなめていく。外見の特徴、指紋、声紋、虹彩のパターン、レントゲン図、血液型、遺伝子情報、脳内と心臓に埋めこまれた生体反応プレートのナンバーなどを入力しているのだ。
最後に脳内プレートの発する忍の脳波に周波数をチューニングし、収容所のどこにいても、忍の所在をキャッチできるように登録している。
「終了いたしました。クリュウ大尉どの。ただいまより、あなたさまがマスターです。どうぞ、ご命令ください」
「今のところないが、そうだな。では風間曹長にかわって私の荷物を持ってくれ」
「かしこまりました。荷物を載せてください」
球形がひらいて、薄い円盤型になる。
球形ロボットは変幻自在だ。
風間がトランクを載せると、ふわふわ浮遊しながら、忍たちのあとをついてきた。
エントランスホールから続く回廊の奥にエレベーターがあった。
「ここからさきは通行許可のある者しか通れません。大尉の許可は本部より通達のあった時点でおりています」
エレベーターのドアは、忍と風間の脳波をキャッチして、自動でひらいた。
「所長のもとへ、おつれいたします」
B3の所長は心理学者の篠山博士だ。
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