一章 戒め-1

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「承りました。クリュウ大尉どのの生体データを入力いたします」 ボールの中央がピカリと光り、忍の全身を青い光でなめていく。外見の特徴、指紋、声紋、虹彩のパターン、レントゲン図、血液型、遺伝子情報、脳内と心臓に埋めこまれた生体反応プレートのナンバーなどを入力しているのだ。 最後に脳内プレートの発する忍の脳波に周波数をチューニングし、収容所のどこにいても、忍の所在をキャッチできるように登録している。 「終了いたしました。クリュウ大尉どの。ただいまより、あなたさまがマスターです。どうぞ、ご命令ください」 「今のところないが、そうだな。では風間曹長にかわって私の荷物を持ってくれ」 「かしこまりました。荷物を載せてください」 球形がひらいて、薄い円盤型になる。 球形ロボットは変幻自在だ。 風間がトランクを載せると、ふわふわ浮遊しながら、忍たちのあとをついてきた。 エントランスホールから続く回廊の奥にエレベーターがあった。 「ここからさきは通行許可のある者しか通れません。大尉の許可は本部より通達のあった時点でおりています」 エレベーターのドアは、忍と風間の脳波をキャッチして、自動でひらいた。 「所長のもとへ、おつれいたします」 B3の所長は心理学者の篠山博士だ。     
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