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「君のような、ちょっと類を見ない美男の教官が来たんじゃ、植民星送りの囚人をいっきに増やしてしまうな。それでなくても同性だけの空間は、その種の病気をまんえんさせる悪環境だというのに」
忍は返答につまった。やっと合点がいった。
風間の忠告も、博士の失礼な注視も、すべて、そういうことだったのだ。
「……あの男、異常性愛者でしたか」
「うむ。もとより、その病で送られてくる者もいるが、こうした環境は、元来は健全な異性愛者まで代償行為としての同性愛におちいりやすい。収容者の三割は、この傾向にあると考えられる。少なく見積もってだがね」
忍は絶えがたい屈辱を味わった。
異常性愛は社会の害毒として嫌悪される。同性愛、近親相姦、死姦、フェチズム、サディズム、マゾヒズム。そうした異常性愛者は蛇蝎のごとく嫌われ、バレれば即時、収容所送りだ。
そんな者の性愛の対象にされるだけでも、世間から白い目で見られるのだ。
「君はターゲットにされやすい。気をつけたまえ」
博士に言われ、忍は背筋が冷たくなった。
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