六章 夢の終わりに-2

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平林とは口論もしたし、忍が苦しむ原因も作った。だが、たった二週間前に会ったばかりだというのに、ずっと以前からの親友のような気がした。 忍はあわただしく自室へ帰った。 夢が完全に忍から分離してしまうまでに、今度こそ、あの人に会わなければならない。 部屋の前には、ゾロメが番犬のように待ちかまえていた。 「マスター。七時になります。仕事へ行く支度を始めてください」 忍は石頭だけれど忠実なロボットに、最後の命令をした。 「ゾロメ。たったいま、私に従事するおまえの職務をとく。おまえは新しい主人を見つけなさい」 「それが、マスターのご命令ですか?」 「そうだよ。おまえは、ほんとによく働いてくれた。今まで、ありがとう。さよなら」 「…………」 うずくまるゾロメのわきを通りぬけ、忍は室内へ入った。 やることは、それほど残されていない。 シャワーをあびて、きれいにヒゲをそり、髪もといた。 あまりにも見苦しい姿では、あの人に嫌われてしまうと考えて、笑ってしまう。夢のなかの忍は自分でも気おくれするくらい美しい純白の竜なのだ。 父に短いメッセージを残すと、草原のソフトの準備をして、ベッドにむかう。 (ああ、そうだ。おまえもつれていかなければな) 木場老人からゆずりうけたキメトラの人形を、ドールハウスごとポケットに入れる。     
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