六章 夢の終わりに-3

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まさに、ギリギリだった。塔内に侵入すると同時に、かすかに聞こえていた聖女の歌声は、さきぼそりになって完全に消えた。 しかし、ナインスドラゴンは塔の緋毛氈(ひもうせん)をふんで立っていた。封印に阻まれることはなかった。将軍の封印の内側に入りこむことができたのだ。 「上のほうから匂いがするニャ!」 そこは塔の一階だ。 目の前に、らせん階段がある。 機械の衛兵がかけつけてくる。 ナインスドラゴンは剣をぬいた。フランケンやケンタウロスも呼びだし、衛兵を切りふせながら、らせん階段をかけあがっていく。 もうじきだ。 この階段をあがっていけば、あの人に会える。 このさきに、あの人がいる。 らせん階段が果てしなく続くように思えた。 長い長い階段をのぼりつめたさきに、大きな両扉があった。 ナインスドラゴンは力をこめて、扉をひらいた。 一瞬、扉の内からまぶしい光がこぼれた。 「ーー姫!」 最上階は一階がまるごと一室になっていた。 部屋の中央に一人の人間が立っている。 魔神を呼ぶという召喚機を背に立つ姿は、しかし、王女ではない。 ファントム将軍だ。 将軍がたった一人で、ナインスドラゴンを待ちかまえていた。 黒いマント。黒い仮面。 黒いかぶり布で頭髪まで、すっぽりおおっている。 将軍の不吉な姿を、ナインスドラゴンはにらんだ。     
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