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「勝負だ! ファントム将軍。姫を返してもらおう!」
ナインスドラゴンは剣をかまえたが、将軍の仮面でかくされていない口元が、笑みの形を作る。
赤いくちびる。
なめらかな白い肌。
ほっそりとしたあごのライン。
将軍は女のようにきゃしゃだった。
その口元をながめるうちに、ナインスドラゴンは妙に胸さわぎがした。
なんだか……なんだか彼は、あの人に似ている。
将軍は笑いながら、ぶあつい革の手袋をはずした。
「何人かの力を借りたようだが、おまえが、ここまで到達できるとは、じっさい、思ってなかったよ。おまえはもう少しで、せっかく創りあげた私の世界をこわしてしまうところだった。だから、ゆるしてやらないつもりだったが、そんなに私に会いたかったのか?」
この声ーー
それに、あのアラバスターのように白い指さき。
立ちすくむナインスドラゴンの前で、将軍はゆっくりと頭髪をおおう布をはずした。そして、仮面を床になげすてる。豪華なブロンドがこぼれ、二つとない麗しいおもてがあらわれる。
それは、たしかに、あの人だった。
だが、キューティーブロンドでも、スティグマのマリーでもない。王女でもない。
もう一つの世界で出会ったばかりのころの、ほんとうの彼の姿だ。
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