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おまけに島にいるのは、ほとんどが異常者だ。
異端収容所の教官など、うまく、やっていけるのだろうかと、ふと不安に思う。
ここは社会に適応できない異端者を集めた収容所。
だから、島は絶海の孤島であり、外部への交通手段は、週に一度のこの輸送機だけだ。
逃亡は絶対にできないよう厳重に警戒されている。
島には航空機は常備されず、海底トンネルなどもない。緊急脱出用の小型潜水艇は、ごくわずかの管理者の承認なしには使用できないシステムになっている。
また、島全体に特殊な磁場が張りめぐらされ、電波を遮断している。情報ネットワークからも完全に隔離されていた。
「港もないのだな。収容所に万一のことがあれば、死ぬしかないということか」
忍のつぶやきを耳にしたらしく、前の操縦席からパイロットの軍曹が応えてきた。
「ご心配にはおよびません。収容所の連中は変わっていますが、おとなしいものです。危険はありません。おかしなふるまいも、畜生のすることと思えば、腹も立ちません。じきに九龍大尉も、あつかいをおぼえられることでしょう」
収容者がクーデターを起こすことを案じたとでも考えたらしい。
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