ORION

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プレアデスプロジェクトでは全部で七体のヒューマノイド・インターフェイスが作られた。 アルキオネ、アトラス、エレクトラ、マイア、メローペ、タイゲタ、プレイオネ、それぞれ別個の自我をもった姉妹たちは開発者たちによって誕生を盛大に祝われた。姉妹型の、それも七体ものヒューマノイドの誕生は世界初の快挙だった。彼女達はあらゆるものから祝福を受けた。それから、二百年が過ぎた。プロジェクトに携わっていた開発者のほとんどは既に死亡して、ろくなアップデートもリペアもなされかった六姉妹は、初号機のアルキオネだけを遺してひとりひとり順番に活動を停止していった。半永久的に稼働する、という開発者たちのねがいは残念なことにアルキオネにしか託されなかった。 「なぜ、私ひとりが残されたのだろう。」 アルキオネは考えた。開発されて以来、考えるという行為を彼女は自発的に行ってきた。そう、プログラムされたからだった。考え、学習し、記憶する、そんなことを百年間続けてきた彼女のメモリーは既に飽和状態にあった。 「やあ、君がアルキオネだね?」 ほとんど廃墟と化した研究所の屋上でソーラー充電をしていた彼女の前に、一人の男が現れた。
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