幸福だった時間

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 そうしてから、二人は静かに靴を脱いで家の中を探索することにした。  暫くして日が沈んだのか家の中が暗くなり始めた。 けれど、あえて明るくせず暗いままで行くことにした。 気配を消してからようやくリビングらしき部屋に辿り着き、焔が二歩ほど進んだところで妹が小さな悲鳴をあげた。 「なにか……ふんだ!?」と恐怖で泣き崩れそうになりそれを焔が慌てて彼女の口を塞いだ。 「しーっ!」 そうしながらも彼も同じように恐怖で気がどうにかなりそうだった。 でも彼女の前ではそんな無様はみせまいと威勢だけで理性を保たせていた。 それから目が闇に馴れてきたとき、妹が踏んだとされるそれを見ようとした。  そして、何やら液体のようなものが伺い知れた。 でも詳しく見るにはやはり電気をつけるしかなかった。
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