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そして、粗方調べを終えた父が彼のいるパトカーに顔を出した。
「焔、怪我はないか?」と心配そうに優しく声をかけてくれた。
(本当は誰よりも辛いはずなのに……)
「平気だよ…父さん…俺達その時まで外にいたんだからでも……父さんの方が……」と彼と似たような心境で返すも彼は苦笑いを浮かべながら、焔の頭を丁寧だけど荒々しく撫でた。
「お前に気を遣わせるとは僕もまだまだだな」
「それより、母さんを殺した犯人の足取りは?」と黒幕の事を聞いてみたら彼は首を横に振った。
「そうなんだ。なら俺が知ってる犯人の顔を教えるよ」と助け船を出すかのごとく告げると父は目を大きく見開いた。
「それは本当か!?」
「ああ、そうすれば犯人に近づけるだろ」と言うが頭の中ではこんなことを考えていた。
(あいつは復讐しに行くなら自分と同じ闇に堕ちな……だったら正義の名の元に……!!)
これが、彼、焔が失った一つめ。
幸せの時間。
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