もう一人の自分(ほんしん)

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もう一人の自分(ほんしん)

 自分の部屋に戻って、先程貰った問題集を解こうと机の前にある椅子に座って、さぁやろうとシャーペンを持ってページを開いて問題を解き始めた。 それで幾数分経って問題集一冊分終えたところで時間を確認しようと時計を見たら一日が終わりを告げようとしていた。 「結構時間過ぎてたんだな…」と簡素な感想だけ言ってから立ち上がってベッドに置かれている寝巻きに着替えた。 「なんだか長い一日だったな………妹を悲しませないようにしなくちゃな…」と最後に自分に嘲笑うようにしてから目を閉じた。  その夜、彼は深く寝息をたてながら夢を見始めていた。 彼は深い深い暗い水の中にいた。 今、口を開こうとしたとき水の中にいるため気泡が一つ口から漏れるだけで声が出なかった。 (これは夢なのか?) けれどこうして鼻で呼吸が出来ることから夢であることに自覚した。 その時、彼の目の前に黒い光が現れその中からもう一人の自分が出てきた。 しかし出てきた彼は自分とは少し違っていた。 まるで垢が抜けたような狂気染みた笑顔を浮かべていた。 その笑みは何処かデジャブを感じた。 (何処かで見たか……?) そんな疑問を抱いていたら、目の前の自分がキヒヒと笑い出した。 「キヒヒ!驚いてやがるな俺!」 すると、浮遊するように焔の周りを一周してからまた笑い出した。 「やっぱり、優しそうな(つら)してんな…そんなんだから甘く見られるんだよ!」 そんな彼の挑発に焔は怒りを見せた。
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