第1章 再開

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季節は春。 雪は溶け、春のあたたかな風に吹かれ桜の花びらが舞う中 私立谷ヶ崎高校の入学式は行われた。 谷ヶ崎高校はこの辺ではかなりの底辺校である。 俺、渡辺拓は今年からこの谷ヶ崎高校に入学した華やかな青春を夢見る、あることを除けばごく普通の高校生だ。 その、あることというのは友達と呼べる人が一人もいないということだ。 渡辺家は僕が小学校に入学したときからの転勤族で、いつも少し仲が良くなった頃に転勤をする。そのため、いつも俺は一人だ。 しかし、ようやく転勤が落ち着いたため渡辺家初めての一軒家を買った。 「おにーちゃん起きてー!初日から遅刻するよー!」 こいつは俺の妹の華菜 俺の一個下だ。俺と違い学業優秀、スポーツ万能おまけに兄の俺が言うのもあれだが美人だ 「わかってるって」 と起きたばかりのくしゃくしゃの顔で華菜に返事をし、恐る恐る時計を見た。 「なんだまだこんな時間じゃって8時25分じゃねぇか!華菜お前なんでもっと早く起こしてくれなかったんだ?」 と怒鳴る俺に華菜は 「あんまりにもお兄ちゃんが気持ちよさそうに寝てるからつい…でへへ。」 小ばかにしたような顔で見られ俺は少し腹が立った。しかし、ここで怒っていてはさらに学校に遅刻してしまう。ぐっと気持ちを抑え静かに支度を始めた。 学校までは歩いて15分ほど HRは8時40分からそのためゆっくり支度していたら遅刻してしまう。 そんな俺を構いなく話しかけてくる妹 「そういえば昨日隣の家に引っ越してきたらしいよ名前は確か…増山だったような…」 (増山?どこかで聞いたことのある名字だな…でも、今はゆっくり考えている暇もない。後でゆっくり考えよう) そして俺は急いで家を飛び出した。 学校まで走って行く道中は見慣れない建物だらけで足を止めてゆっくり見ていたかったがそんな余裕は無い。 そして、ようやく学校につき教室まで走って行く。 この学校は1年生が3階2年生が2階3年生が1階になっている。俺は既にヘトヘトだったが、全力で3階まで駆け上がった。 そしてチャイムとともに着席した。 転校が多いせいでこの誰とも話せない緊張感には慣れていた。 「おはようございます。今日からこのクラスの担任になった星野恭子といいます。キョーコ先生って呼んでください。」 といいHRを始めた。 そしてその時は訪れた。
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