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翼を捨てた璃子と雪
1972年秋、あれほど日常的に飛び交っていた拡声器による絶叫音も,通りに溢れかえっていた立て看の乱立する景色もそこにはもうなかった。
それはある意味表面上は、大学としてのあるべき姿を私たちは取り戻しているようにも思えた。
ヘルメット姿に拡声器にゲバ棒。毎日ビラを学内に撒き散らし授業までも占拠。
そんな輩を私たちは苦々しく見ていたのは確かで彼彼女等を排除する世の中の動きは
私たちにとっては歓迎するべきもののように思われた。
そんな状況のなか,鹿児島から東京に出てきてから二年、雲ひとつない秋晴れの富士の稜線までもがくっきりと見渡せる秋晴れのある日に、私は白馬の天使と出会った。
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