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出逢い
私は、部長に叱責を受け
うちひしがれ悩んでいた。
浅草寺の隅っこの階段で、
人目につかぬよう
しゃがみこんでいた。
職務中に叱責されたことで、
頭の中は埋め尽くされ
物憂げにしていた。
夕暮れさしせまった頃、
とんとんと肩を叩かれた。
振り返ると、そこには
キツネのように色白で
そして、豪華な毛皮に身を包んだ
女がいた。
「あんた、なにか悩み事でもあるの?」
私は、上司に叱責されたことを素直に話した。
「そう、それよりあんた お腹空いてない?」
そういえば朝から何も口にしていなかった。
私は、頷くと女のあとを付いていった。
グリルの扉をあけると、
なじみの店なのか頼んでもいないのに
ヒレカツが出てきた。
こんなもの食べたことないし、
お腹の空いていた私は、
見事に平らげた。
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