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知らない日記と、僕と彼女と…俺
「…寒ぃ…」
1本の大きなクリスマスツリーの真下、…そこに設置されている木で出来たベンチに座り、ぶるぶる震える。
「…クソ、何してんだ俺…」
(…やっぱり家で一人でこたつに潜りながらテレビでも見とけばよかった…)
周りで繰り広げられる光景にいい加減うんざりし、苛々とため息を吐く。
本日は俗にいう『クリスマス』。
…といっても、今日という1日は、言ってしまえば昨日と何も変わりない。
魔法が使えるわけでもないし、社長になれるわけでもないし、そこら中の女が俺に見惚れるような…格好良い男になれるわけでもない。
ただ『クリスマス』って名称を与えられただけの日に過ぎないのに。
…世の中のカップルがいつも以上にテンションを上げ、盛り上がり、わーぎゃーわーぎゃー無意味に騒ぐだけの日。
1人身の俺には何の意味もない。
『リア充爆発しろ』
という、妬みだか羨望だかを含めた眼圧をそこら中でいちゃいちゃしてるカップルに向けて放ち、脳内で呟くことしかできない。空しい。
「……あー、俺だってこれさえなければなぁ…」
手に持っている本…というか、日記らしきものを開いてみる。
寒空の下、何故俺がこんな場所にいるかというと…この日記が原因だった。
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