第1話 恒例の評価

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第1話 恒例の評価

始まりの平原は、随分と静かだった。 無人という訳ではなく、ここに集まる人の数はそれなりに多い。 リーディスは体を投げ出すようにして椅子に浅く腰掛け、空をぼんやりと眺めている。 マリウスも気が抜けているのか、長テーブルの端に突っ伏している所だ。 ルイーズは付近のもちウサギたちの世話で大忙しで、リリアは毛束から枝毛を捜索中。 メリィなどは大猫をクッションのように扱い、その腹に顔を埋めていた。 まさに傍若無人であった。 彼らに共通している事はただひとつ。 おおむね目が死んでいる、という点だろう。 まともな会話は一切なく、場の空気は重たい。 そんな中、ミーナが少しわざとらしいくらいに明るい声で、周囲を元気付けようとした。 「リリアさん、お待たせしましたぁ! 『窓辺で毒づくマドモアゼル ~春風に凪いで~』です!」 「うん。ありがとうねぇミーナちゃん。いただくわ」 「オカワリもありますから、遠慮無く言ってくださいね」 ミーナは給仕として振る舞いつつ、リリアの前に巨大な皿を置いた。 そこには、大皿に相応しいバケツサイズのプリンがあった。 皿の縁際には生クリームによって繊細に飾り付けが為され、寄り添うミントの葉が何とも可愛らしい。     
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