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どうにか猶予をもらおうと懇願するが、それもとある人物の登場によって遮られる。
「こんな所に居たのですね、エルイーザさん」
「マリウスさん……」
「だ、誰だお前は!」
リーディスがマリウスに問いかけると、まず
微笑みが返ってきた。
だが、そこに温もりはない。
侮蔑がふんだんに込められていることを、リーディスは直感で見抜いた。
「お初にお目にかかります。私は賢者マリウス。これでも一応、貴族の息子です」
「き、貴族の息子だとぉ!?」
「ちなみに賢者なので、出世頭でもあります」
「しゅ、出世頭だとぉお!?」
マリウスは自己紹介を終えると、静かにエルイーザの隣に寄り添った。
関係を略奪したことを誇示するかのように。
エルイーザもその動きを拒もうとはしなかった。
リーディスは怒りにうち震え、したたかに拳をテーブルに叩きつけた。
「そのお前が何の用だ! まずはそこから離れろよ!」
「あなたの事は彼女から聞いてます。その日の暮らしにも困るほどに貧しいそうですね」
「そ、それは……。まだ野草集めくらいしか仕事がないから……」
「ここの食事代も、恋人にたかるつもりでしょう? いくら彼女がお布施をふんだんに預かる身であるとはいえ、恥ずかしく思わないのですか?」
「お前に何がわかるんだ! オレだって毎日頑張ってるんだよ!」
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