第4話 リンクスの街で

1/6
前へ
/62ページ
次へ

第4話 リンクスの街で

王都を無事奪還したリーディスたちは、配下を引きつれ北上し、リンクスの街へと向かった。 その街も同様に邪神の軍が跋扈(ばっこ)しており、いたずらに住民たちを虐げている。 王国からは1軍が貸し与えられ、士気は天を突かんほどに燃え上がる。 プレイヤーも王道展開には高揚したことだろう。 だが例によって、異様に長いロード時間がスムーズな進行を妨げ、無神経に水を差すのである。 _________ _____ 【ゲームデータをロードします】 リーディスは、足元をフラつかせながら街を彷徨っていた。 片手には安酒の瓶。 持ち物らしいものはそれくらいしか無い。 手切れ金は食事代と、多少のヤケ酒で使い切ってしまったのだ。 ここはリンクスの街。 彼は王都になど居られないと、その日のうちに飛び出したのだ。 若さゆえの行動力である。 だがそれは、向こう見ずとも言えた。 一切の伝手が無い街で、無一文の状態で何をしようと言うのか。 傷心に沈む純朴な男には、そこまで思考が回らなかった。 「ちくしょう、金がなんだ。仕事がなんだ! 貴族がそんなに偉いってのかよッ!」 辺りはとうに日が落ちていて、宵闇に包まれている。     
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加