第1話 恒例の評価

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まぁそういった装飾も、プリンのど真ん中を貫いて自立する、丸々一房あるブロッコリーが全てをブチ壊しているが。 しかもカラメルソースの代用とばかりに、そのブロッコリーにはふんだんに『チョコカレーヨーグルトソース』が頭からかけられているのだ。 オーダーミスではない。 実際リリアは慣れた手つきでブロッコリーを解体し始め、口の中をため息の代わりに青物で満杯にした。 食べ始めると気分が上向いたのか、顔色もいくらか改善された。 そして気力も、コミュニケーションが取れる程度には回復した。 「エルイーザさんたち、遅いね……」 リリアが不明瞭に言う。 するとマリウスが突っ伏したまま、やはり不明瞭に答えた。 「データの収集は時間がかかりますから。ですが、間もなくだと思いますよ……」 普段は礼儀を重んじる男とは思えない態度だが、驚いたり、咎めたりする人は居ない。 彼らはみな一様にショックを受けているからだ。 ーー彼らの出演する新作ゲームが、大不評だと知ったからだ。 詳細は現在エルイーザ・デルニーア姉弟によって調査中。 分かっている事は、評価平均が0.5点だと言うことだけで、具体的な指摘や改善点は不明。 なので一同は悶々としながらも、ひたすら待機せざるを得なかった。     
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