第1話 恒例の評価

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リリアの個人技により、ブロッコリーがすっかり胃に格納され、プリンも半分ほど削り取られた頃。 彼らの側で転移魔法が発動した。 それに乗ってやってきたのは、女神エルイーザと、邪神デルニーアである。 デルニーアの落ち込み様はあからさまに酷い。 肩に生えた大振りな翼は萎(しお)れ、唇から突き出した牙や、虎よりも立派な爪もクッタクタに歪んでいた。 過剰なほどに肩を落としているので、筋肉質で角ばった体つきも、今ばかりは丸く見えてしまう。 エルイーザの表情はというと、凶悪犯そのものと言って差し支えない。 眉間のシワは誰よりも深い。 赤ら顔なのは、お腰に付けた濁り酒をミネラルウォーター感覚で常飲している為である。 口の端からは焼メザシの尾っぽが飛び出していて、それが本日の肴(さかな)である事を知らしめた。 「オウオウオウ! テメェらよっく聞けよ! ケツの穴かっぽじってなぁ!」 『耳』の間違いだろ、と指摘する声はない。 あまりにもノリが悪いため、エルイーザの凶相がより険しくなる。 「新作ゲームの評価はなぁ、クソ中のクソ! キングオブ・クソゲーだとよ!」 「なんだってぇー……」 「そんなぁーあんまりだー」 「もうちっとやる気出せやゴラァ!」 エルイーザの拳がテーブルをしたたかに叩いた。     
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